忍者ブログ
magenta
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

いろんなものが色鮮やかにみえて、あたしなんかにはってついつい思ってしまうのだけど、それさえも情けなくなって、嗚咽がとめられなくなる。あおいあおい空があたしの名前を呼んでいる気になって、足を踏み出そうとするのだけど、あたしには翼がないのだと、また誰かに引き戻され、あたしの腰に現実の帯がまきついて離れなくて、太陽を見つめて泪を流す。人に愛されたいと思うことを恥じたあたしは今日も壁で四方を囲んで、人の優しさを寄せ付けないでいる。人に愛されたいと声高らかに笑えるあなたが本当は羨ましくて、それから意識をそらすために、たくさんの嘘を塗り重ねた。嘘は嘘をよんで、あたしの腰をしめつけて、首に手をかけては微笑む。いっそのこと殺してくれればいいのに、どうしてかきみはあたしに生きることを強いる。それこそが何よりも、苦しいことだからなんだと解ったつもりで、きみを知ったつもりで、盾にしていた。誇れるものなんか何もないことさえもが誇りとなって、優しい手を一つずつ切り裂いていった。あたしは誰よりも愛を欲して、きみを愛してた。

PR

よろしくって頼むことよりも ありがとうで埋め尽くされたいのが常
所詮 逢いたいなんて嘘 言葉に堕とすのは バレないようにするためなんだろう
捲きついた嘘は 結局 熔かすしかない
飲み欲した情念を今日も忘れられない
桜についた煙草を 揉み解して 泪を拭き取る
赦してくれないと 駄目なんだと思う
今日は 明日は 夢を語って あたしは置いてけぼり
今が愉しければいいなんて 甘えだとあなたは嗤うだろうから
あたしが浮世を嘆いた今日は
あなたがあたしを求める明日に繋がって
もっと先には 生み堕としたコピーが
また嘆いて刺してしまうのだろう

あなたの爪が色を呈した。今日は煙草の色。重い香で、街中どこでもボタン1つで買えるあたしとあなたが共有できる色。そして独りになると必ず思い出す色。

「できたよ。」
「あー、今日も綺麗に塗ってくれたんだな。」
「可愛いでしょ?」

あたしが色を落とした爪のついた手は、あたしの髪にするする纏わりついてくる。窓から注ぐ冬独特の冷め切った白い光はあたしの目には疎ましい。あなたの首沿いにある突起を眺めていた。あたしにはなくて、あなたにはあるもの。不規則な上下運動。滑らかな移動。あなたがくくっと笑うと、小刻みに振動する。取り出してしまいたかった。その皮を1枚剥いで引き出したかった。

好きになるだけで、幸せになれた
好きになるだけで、仮面をはずそうと思えた
笑えるようになって、自分を好きになれた
左足の宝石をはずすことができた
誰にも囚われなくなった
自分にも、囚われなくなった
それでもいいと思えた自分は消えた
「さようなら」じゃなくて「またね」
「ごめんなさい」じゃなくて「ありがとう」
人格を創り上げることは簡単だった
あたしは逃げて、ここまで来たわけじゃない
何回も電車を乗り継いで、みあうだけのものを捨てた
それを悔やむ自分も愛せるようになった
しあわせだ、と思えるようになった
素敵な人と過ごす日々を慈しむことができた
世界中の不幸を全部背負ったみたいな顔はやめにした
演技はしないことにした
嘘はつかないことにした
虚構なあたしを愛してくれたあなたを愛すことができた
嫌われてもいいなんて、思わなくなった
好きになって、あたしのこと好きになって
やっと言える
あたしは、忘れられることを恐れていた、ということを
忘れないで、忘れないで、忘れないで
あたしのこと忘れないで
ここにいます
ここで唄ってます
正直者は馬鹿をみるというけれど
嘘吐き者が馬鹿を見ないわけじゃない
十一とるために十捨てるのは勇気がいるけれど
一手でも素敵に決めようじゃないか
そこにあたしを、あたしの唄を、あたしの詞を、
待ってくれている人がいるかぎり
これからも、あたしは生きるだろう
誰かのために生きよう

とにかく忘れたかった。あたしは忘れたくてどうしようもなかった。
何か大切なものを、忘れたかった。
忘れてしまえたら、もしも忘れてしまえたら、あたしは泪を流しただろう。
泪と友達になれただろう。
どこか遠くの真っ白な駅に忘れてきたものを、あたしは返してもらうことができただろう。
何かを忘れて、何かを知りたかった。
薔薇のピアスはまだ左耳でゆれていて、停まることはない。
あたしは今日もギターを握って、唄っている。
大切な何かを忘れないための唄を口にしている。
緑の黒髪が素敵だった頃は、口付けを欲していた。
逃げ切れなくなるまで、逃げたくなくなるまでには。
忘れたかった意識も、忘れてしまえるかな。

忍者ブログ [PR]


Designed by A.com