溶け出してゆく仮面は泪の証なのね

　罠

魔がさした呼吸に終止符を打つ
並べたものを壊すは容易だけど
混ぜたら飽和
此処で今を唄うあたしも
総てを受け流したあたしも
今様に捨てきれずにいる

走りぬけてしまいたい哀しみも
大事にしまっていたい愛しさも
溶け出してゆく仮面は泪の証なのね
あたしのために生きるのも
悪くないと思い始めた

自演道具の前でヒールを鳴らしてみる
握りしめて音をかきならすと
視線が絡む
此処で過去を唄うあたしも
総てを受け止めたあたしも
満腹な箱に出逢う

歩いて沿いたい美しい恥じらいも
神に乞い嘆いたずるさも
滴り墜ちないのは飲み干した証なのね
あなたと共に生きるのも
悪くないと思い始めた

風の吹く窓に鍵をかけて閉じ込めたい
あたしのために生きるのも
悪くないと思い始めた
あなたのために生きるのも
素敵だと思い始めた

これは「罠」「wanna」の掛詞で「愛することって結局は嘘なんだよね」「でも、それでも素敵だって思えるよね？」ってゆー唄。すごい底辺の唄なんだけど、ちゃんと光はあって、もー前に進むしかないってゆー受身な前進じゃなくて、進もう、行こうってゆー自発的な前進。それを行為に落とし込んだときに、あたしの場合は唄うことで、曲を作ることで、それこそがいちばん「愛する」ことに寄り添う形での平行線を引けるなーってかんじ。